むかしむかしあるところに
「鬼のお手つき」と呼ばれるお姫様がおりました―
時は平安。京の都の暗闇は魑魅魍魎が跋扈していた。
主人公は名門貴族の十番目の息女。
血筋も家柄も申し分ないというのに妻問う者は現れない。
それは主人公が「鬼のお手つき」だから
九年前、庭で遊んでいた主人公は突如姿を消し、数日後、記憶を失って帰ってきた。
「神隠し」は鬼の仕業とされ、いつしか主人公は「鬼のお手つき」と噂される。
そんな主人公に求婚する者はなく、屋敷の奥深く時が過ぎるのを待つだけの日々。
「誰か私を……、ここから連れ出してくれればいいのに……」
思わず漏れた独り言は、誰の耳にも届かなかった……
そう思っていた、あの美しい鬼に会うまでは
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