昭和三十三年、一月。
珍しく雪が多く、とても寒い年だった。その日灰色の雪が舞う中、少女の葬儀は執り行われた。
雪に包まれた遺影の少女は、どこか気恥ずかしそうで、どこか寂しげな表情で其処に居た――
天恵会をめぐる事件が一応の解決をして数日後、獄中にあった画家・間宮心像が死去した。
時坂玲人は旧知の学芸員マリス・ステラと共に、間宮心像の遺品の整理へ赴く。そこにあったのは腕のない片翼の天使を描いた未発表作だった。
因縁のある『殻ノ少女』にも通じる、美しさと禍々しさの入り交じったその絵は『天罰』と名付けられた。
それからさらに数日後、『天罰』の天使と同じように装飾された女性の死体が発見された。彼女はかつて真崎智之と同じ職場に勤めていた人物だった。
『殻ノ少女』から始まり、『天罰』へと紡がれていく絡み合った偏執を断ち切ることができるのは、たった一人の小さな少女の存在なのかもしれない。
その愛〈パラノイア〉は紡ぐ、太陽と、すべての星々を――
※Ver1.02 適用済み
▼もっとみる
並び替え
殻ノ少女シリーズ完結作
発売元のInnocent Greyさんは途中で全年齢対象作品のFlowersをリリースされており,
シリーズが完結するか心配でしたが,本作を出していただいたことに感謝したいです。
** 本作の良い点
(1) 美しいCG
1枚絵や立ち絵は相変わらず美しく,凄惨なシーンですら思わず見惚れてしまうほど
です。過去作に比べて絵のタッチが変化していますがストーリーの舞台である戦後の
日本の雰囲気にマッチしていると思いました。
(2) クオリティの高いBGM
うるさくないシックなBGMが揃えられており,没入感を高めてくれています。
各曲も殻ノ少女時代からあるBGMのアレンジになっており,シリーズを通して
プレイしている人であれば感慨深い気持ちになるのではないでしょうか。
特に最終エンディング曲は必聴です。
(3) 魅力的なキャラクター
名演を見せるキャラクターが多かったと思います。
これまでも怪演を見せていた六識はもちろんですが,本作のMVPは八木沼です。
(4) メインストーリー部分については決着を見せた
主人公である時坂玲人と朽木冬子に関する伏線はちゃんと回収されています。
エンディング部分については納得感のある締め方だと思います。
** 本作の悪い点
(1) エロゲーの要件を満たしていない
凄惨描写部分だけでR-18になっているだけのような印象を持ちました。
魅力的なキャラクターが大勢登場するにも関わらず,Hシーンは3回しか存在せず
それも極めて短く薄いです。一般小説にある少しエロい描写ぐらいの内容です。
(2) 回収されていない伏線や説明不足が目立つ
本作のシナリオは大きく3つのパートから成っていますが,最終パートでドタバタと
全てを強引に畳んでエンディングに持っていった印象を受けました。結果として
最終エンドは感動しましたが,「なぜ?」がいくつも頭に残ってしまいました。
(特に虚から登場したキャラクターに関しては伏線回収や動機の説明がほぼない)
無貌さんのレビュー -2021/01/05 -アダルトPCゲーム 購入・利用済み
4人中、4人が参考になったと投票しています。
12年経ったからこその稀代の名作
その間にプレイヤーの時間は流れ、人の人生は厚みを増してゆく。
だからこそ大人の鑑賞に耐えゆる名作なのだろうと思います。
一作目が発売された時は年若く、やはり多くの方が「そういう描写」を求めて購入すると同じく私もテレビ等では体験出来ない全年齢という枠越えた刺激的な描写を求めてプレイしていた事を思い出します。
ただ、長時間続編物に期間が空くとどうしても当時の作品に対する目的・熱量・受け取り方に齟齬が出て来てしまいます。
今年18年ぶりに本編新作が発売された「十二国記」が私にとっては正にそれだった。
18年前に夢中になって読み漁った異世界物語は、歳を重ねた今は驚く程文字が目から滑っていき内容も頭に入ってこない。
【題材が違う】と、いうのもあるだろうが
しかしながら、殻の少女シリーズは見事に12年という空白を余りある程きちんと埋めてくれた見事と言わざるをえない作品でした。
Amazon等で定評をみると多くの不評が
「性的描写が少ない」
「シナリオがおざなり」等が目に入る。
しかし、この作品で製作側が表現しようしているのは最早その様な稚拙な段階では決してないと感じます。
この作品には非常に現実的な人間模様が描き出されています。
さっきまで物語の中心に関わっていた人物のその後の顛末が描かれていなかったり。
それらに至った経緯が説明されていなかったり。
でも、だからこそ一作目から歳を重ねた自分にはとてもそれが当たり前の様に感じられます。
何故なら作品に出てくる人物達は他の作品とは違い非常に濃い人間の「生」を全うしているから。
だからこそ、主人公が変にそれに対する経緯を語ろうとせず・描写しようとせず新たな地で新たな生活を営んでいたり。
曖昧な関係のままであったり、夫婦・結婚等はっきりとした形には行き着かないこと。
それぞれがきちんと「生きている」からこそこの表現なのだと思います。
生きていれば互いの人生が交わる時間は一瞬。
偏執を抱えようとも人はそれぞれ生きていきます。
きちんと人間味があるからこその世界観。
素晴らしいの一言です。
本作品はいわゆる「抜き」ではありません。
「猟奇」でもありません。
何年もかかって、年を重ねたからこそ分かる
重厚な、そして現実にはないドラマチックな
物語です。
アノマルニさんのレビュー -2021/01/05 -アダルトPCゲーム 購入・利用済み
7人中、4人が参考になったと投票しています。
ネタバレ 3作目
今回はほとんど一本道なのと肝心な謎解きはかなり簡単にできています。
(過去作品中一番謎解き部分は簡単です)
ややネタバレ注意
また紫の友達の事件と娘の無事確認とあるカップルの結婚がメインです。
恐らく次回作は真崎周りの解決と時坂兄妹ダブル結婚式?
みたいなのがメインになるのかな?と想像しています。
それと過去作と違いエロシーンはほぼなくエロシーンも官能小説風なので
エロ目的ではおすすめしません。
前にも画風が芸術的になってきているのでエロシーンはいらないのではないかと
書いた記憶があるのですがほんとうにエロシーンはなくなっていました。
(最後まで紫の裸見れなかった…。)
個人的には娘とやっと会えたのにほとんど会話なかったのが残念です。
出来れば娘と一緒に冬子のお墓参りしてほしかったです。
後冬子が出てきたのが夢のシーンのみと残念でした。
本当は冬子死んでいなくて骨も冬子の手足と他人の骨でごまかされたとか
期待していたのですが…。
二人の恋人寝取られ殺害されて娘も寝取られ体の関係があった人は親友に寝取られ
散々な時坂先生には次回作では幸せになってほしいです。
気になったのは東京オリンピックやよしのぶちゃん事件の話題とかでてたのに
33年3月の一番有名な話題は一度も出なかった。
レビューを表示する
Eトヲト吉ト人|(-1)さんのレビュー -2020/12/28 -アダルトPCゲーム 購入・利用済み
1人中、0人が参考になったと投票しています。
正直期待はずれでした。
虚ノ少女からずっと今か今かと待っていましたが、
期待はずれでした。
BGMも前の作品に比べると心に来るものはなかったです。
贋作事件はすごく良かったですが、その後の展開が正直微妙でした。
グランドエンド後の話もう~んって感じだった。
鬱エンドを期待したわけではありません。時坂さんの幸せは心から願ってました。
色んなレビュー見てるとみんな高評価ですが、ほんとに殻虚やったか?って思います。
ほんとにがっかりしました。
ケラちんさんのレビュー -2021/03/05 -アダルトPCゲーム
0人中、0人が参考になったと投票しています。
ネタバレ シリーズファンとしてはあのTRUEエンドが見れただけで◎
六識脱走までの中盤までは面白かったです。1作目との関連が深い事件が起きて、2作目では出てこなかった面々が登場したり、芸術性と狂気が合わさった猟奇殺●など殻ノ少女シリーズらしさと懐かしさを感じられる展開でした。
ただ、6年後に進んでからは色々微妙でした。ようは2作目ラストで分かった冬子の子の話ですが事件の性質も狂気はなく薄っぺらい動機でそのせいか緊迫感などに欠けた。正直やってて退屈でした。
そのあとは大分急ぎ足でまとめた印象。もうちょっと尺あるのかと思ったけど案外短かった気がします。
ここまでは失速したかなと思いましたが最後にTRUEEND見たらそんなこどうでもよくなりました。シリーズ通してやってきてあのエンド見せられたら感無量です。
レビューを表示する
アスタラビスタさんのレビュー -2021/01/12 -アダルトPCゲーム
1人中、1人が参考になったと投票しています。
ネタバレ 好きこそ、ものの上手なれ
数年前。殻ノ少女は評価してはいけないものだと思った。だから後、次作である虚ノ少女を手に取ることはなかった。
今、天ノ少女を終えた。あれからは更に数年が過ぎていた。
この作品が続いていた事を知った時、只々、「好きなのだな」と思った。最初の思いはそのままでありながら新たにそう思ったから、私は虚ノ少女を、そして天ノ少女を購入した。
ちゃんと完成している。そこは安心して欲しい。
伝えるならば、やはりシリーズを通して体験して欲しいと言う事だろう。そうではないと、あの曲が流れた時のあの情動が得られないだろうから。
レビューを表示する
ぢる蜘さんのレビュー -2021/01/05 -アダルトPCゲーム
1人中、0人が参考になったと投票しています。
完結編
朽木冬子から依頼された時坂の集大成
シリーズでは1以来のグロさ前回のシリーズですな。
エロは極端に少ない。ほぼないといった感じですかね。
それと私としては一番に驚いていたのは滝沢アツヤさんの魚住が帰ってきた事
これは言っていいのか、中の声優さん引退宣言していたので2の魚住が消された背景はここにあるとおもってましたから、まさかの帰ってきたのは本当にうれしかった。
ドラマCD含めて時坂の相棒はやっぱり魚住だろうとおもっていたので
八木沼とか真崎に取られていた時はモヤモヤしてましたが、魚住の掛け合いはよかった。
ドラマCD同じく最後は〇〇と結ばれたし、もう感極まりましたよ。
大きく不満はないのですが、一点どうしてもふに落ちなかったのは、TUREエンドに向かってがきちんと解決した話に行かなかった事
それぞれのエンドを纏めてみんなが出そろうから
例えばTRUEエンドだと約3名でません。
2で出ていてたメンツです。まぁTRUEに行くには結婚式見ないといけないので〇子だけはみれるかな?
でも残りは二人は出やしない。
そこに向かう形でまとめていけばよかったんじゃないかと思うんですよね。
別に最後の二つのエンドは分ける必要があまり感じなかった。
ただTRUEのエンドは憎いもっていきかっただったとつくづくおもいますな。
きしくも全く同じ状況で全く同じ姿で、もしかしたら先天的な肉体も同じな二人が
同じ人物と同じ会話をする事で終わる。
それだけはシリーズを全てやってきて良かった事ですね。
だからシリーズをいままで追ってきた人はやるべきだと思いますよ。
少しエンドに行くのがシビアですが……
商人備前屋さんのレビュー -2021/01/05 -アダルトPCゲーム
1人中、1人が参考になったと投票しています。
殻ノ少女三部作 完結編
虚ノ少女
と続いた三部作の完結編。
非常に美しい絵とBGMはそれだけで買う価値があるほど
最初からやってないと意味不明なのでプレイ必須。
なお、前日譚が公式サイトで体験版として配布されていますが
やらなくても大丈夫です。
しっかり本編で体験版部分も回収されます。むしろそのほうが流れが綺麗に
まとまるので没入したいならむしろやらないほうがいいです。
謎になっていた部分や、前作でパラノイアにとらわれてしまった人達の結末など
すべてが描かれていました。
公式サイトでキャラクターの事を一番に考えて創られたと
書かれていますが、その言葉通りの作品です。
締めとしての満足感は言葉にできないぐらい高いので
過去作プレイ済みの方は是非。
1週目で謎の大枠が明かされ
2週目で各キャラの結末及び心情描写が追加されます。
1週しただけでは終われません。
スタッフの方々のキャラ愛が詰まった作品でした。
マイナス点はHシーンが無いこと、プレイした方はわかるかと思いますが
前作、前々作同様、難易度が高いため選択肢で詰まる可能性があること。
あきばんさんのレビュー -2020/12/28 -アダルトPCゲーム
5人中、5人が参考になったと投票しています。